自動車の板金塗装をDIYでする方法

青森屋コラム

自動車の板金塗装をDIYでする方法の前に板金塗装とは?

板金塗装とは、車の金属部分を形状修正し塗装し直す作業のことです。

「板金」とは、事故などの衝撃による車体の凹みや、老朽化による変形を修復する作業で、板金を行う際に車体の塗装を剥がすため、板金作業後は再度塗装を施す作業が必要となります。

板金には溶接機やハンダなどを使用し、表面に磨きをかけ下塗りを施し塗装するなど、基礎的な知識や高度な技術が必要となる作業のため、大きな工場などでは専門スタッフが置かれていることもあります。

板金塗装は、板金箇所や施工面積により価格が大きく変わってきます。さらに塗装の種類によっても価格は変動します。

パーツ/塗装の種類による金額の目安
ソリッドメタリックパール
バンパー14,300~30,800円16,500~34,100円16,500~41,800円
ボンネット33,000~57,200円44,000~70,400円49,500~73,700円
ルーフ39,600~63,800円48,400~70,400円57,200~81,400円
リアドア30,800~45,100円34,100~55,000円38,500~64,900円
フェンダー26,400~46,200円34,100~53,900円44,000~64,900円

ボディーカラー塗装の種類

塗装の種類概要
ソリッド白・黒・赤などの単色の色目。
再塗装の際には補修がしやすいカラー。
クリア塗装の必要はない。
メタリックソリッド塗料に微粒子のアルミ片を混ぜることで、光の反射によりキラキラと光る塗料。
金属片が酸化するためクリア塗装が必須
パールソリッド塗料に雲母(マイカ)の粉を混ぜた塗料。
半透明の膜が何重にも重なった構造で、層ごとで光の反射と屈折が異なるため、メタリックよりも繊細で高級感のある仕上がりになる。
クリア塗装必須。

現在使われている塗料は2種。

  • ウレタン塗料(油性ウレタン塗料):ウレタン系樹脂を主成分とした塗料で耐久性が高く、変色しづらい。
  • 水性塗料:有機溶剤(シンナーなど)を必要としない塗料。近年の新車のほとんどで採用されている。ウレタンに比べ耐久性が低い。

※現在は、環境問題などの観点から水溶性塗料の使用が推奨されており、今後は板金塗装においても水性塗料が主流になっていくと考えられます。

DIYでできる車の板金塗装の範囲とやり方

DIYでできる板金塗装の範囲
  • 初心者ならわずかなキズ(ハガキサイズ以下)程度の範囲
  • プラモが得意!なら板金と塗装の両方であればハガキサイズ~B5程度の範囲
  • 塗装のみならA4サイズ程度の範囲

初心者ならわずかなキズ(ハガキサイズ以下)程度の範囲

初心者が板金塗装をDIYで行う場合は、キズの範囲が狭く、凹み具合も浅いものに限ります。

サイズの目安としては、

  • ハガキサイズ以下
  • 深さ5mm未満
  • 塗装の割れがみられない
  • 凹みがなめらか(爪が引っ掛からない程度)

上記程度の石などの跳ねでできたわずかなキズであれば、コツが必要なパテなしでコンパウンドやスポンジ、マスキングテープなどの最小限の道具で補修ができ、業者よりも安く済ませることができます。

板金塗装を行うには、キズの補修に必要な道具などを購入する必要があります。

必要な道具は下記にまとめますので、参考にしてみてください。

車いじりやプラモが得意!ならハガキサイズ~B5程度の範囲

パテやある程度の道具が揃っていて、車いじりやエアブラシを使ったプラモデルなどが得意という方であれば、もう少し広範囲のDIYが可能かもしれません。

車体についてしまった凹みを修復する場合は、「叩きだし」や「引っ張り」といった板金作業が必要となります。

ハンマーや吸盤(トイレのスッポン)などを用いれば行うことができますが、どちらも技術が必要となるので、大きな凹みの場合は業者に依頼しましょう。

小さな凹みの場合は「デントリペア」で修復も可能な場合もあるので、デントリペアツールを購入しておくと便利です。

※「叩きだし」「引っ張り」については下記に記載します。

傷の程度や補修箇所によって違いはあれど、これ以上の大きな範囲の補修となると、設備や補修材料、時間などがかかり過ぎるため素人のDIYでは厳しいと思われます。

塗装のみならA4サイズ程度の範囲

板金作業がなくパテとサンドペーパーと塗装作業のみであれば、A4サイズ程度までの範囲にチャレンジしてみるのもいいかもしれません。

ただし板金に比べて楽そうに見える塗装ですが、元の色味と合わせる・ぼかすといった作業は、簡単ではありません。

A4サイズであっても、違和感なく仕上げるのはかなり高度な技術が必要ということを念頭に入れて挑戦しましょう。

※叩きだし車体についた凹み部分を裏側(内側)からハンマーで叩いて元通りにする修理方法
※引っ張り吸盤を貼り付けて凹み部分を引っ張り出して修復する方法
デントリペア車体についた小さな凹み(ドアパンチ等)を板金塗装せずにデントツールという専用工具を使い修復する方法

自分でやる場合の工程は次の通りです。

コンパウンドを用いたごく浅く小さなキズの修復

1:洗車

特にキズのある箇所はしっかり洗い、砂やホコリなどを落としましょう。

2:コンパウンドでキズを磨く

マイクロファイバータオルなどにコンパウンドを1cmほど出し、キズ全体にコンパウンドを平行に優しく行き渡らせます。

※コンパウンドは研磨剤なので、強くこすったりクルクルと円を描く様に塗ると、ムラになってしまいます。

3:拭きあげる

新しいマイクロファイバータオルなどで拭き上げて終了です。

この時も傷に対して平行に拭くように心がけましょう。

※コンパウンドは粗目→細か目とやっていくとキレイに仕上がりますが、わずかなキズであれば細目~極細目の一種類だけでもキレイに仕上がります。

叩きだし/引っ張り

1:凹み部分に熱を与える

ドライヤーや熱湯を使い、熱を加えることで金属を柔らかくします。

2:叩きだし/引っ張り

【叩きだし】凹んだ部分の裏側からハンマーなどで叩いて成型します。

※外板にあて木をして叩く

【引っ張り】スッポンなどバキュームカップを凹み部分に吸着させて、思い切って引っ張りだす。

※引っ張りの場合は、熱を加える前にシリコンオフを使って脱脂しておくと、滑りにくくなり引っ張りがしやすくなります。

パテ盛り/パテ研ぎ

1:修復箇所をマスキングテープでマーキングする。

2:粗めのサンドペーパーで研磨し、シリコンオフで表面の脱脂をする。

3:【パテ盛り】修復箇所にボディ用の厚付けパテを塗る。

パテの硬化が始まってからのパテを付け足しはしないでください。先に盛ったパテとの間に隙間や気泡が発生してしまいます。パテの量が少ない場合は硬化を待ち、一度パテ研ぎを行ってから付け足します。

4:【パテ研ぎ】パテ盛りでできた余分な箇所を削る。

パテが完全に乾いたら、サンドペーパー(240番程度)で余分なパテを削っていき、周囲の面と合わせていきます。

塗装

1:塗装箇所をマスキングする。

2:下地作り(ペーパーかけ/脱脂/プラサフ)

パテ作業をした塗装箇所をサンドペーパーと耐水ペーパーで研磨していきます。

300番くらいのペーパーからスタートし、400→600→800番…と徐々に番手を上げていきます。

800番ほどで一度シリコンオフで拭き上げてプラサフ(下塗り)を吹き付け硬化させ、800→1000→2000番…と耐水ペーパーの番手を上げて磨いていきます。

2000〜3000番ほどまでペーパーがけが終わったら、シリコンオフでもう一度脱脂をし下地の完了です。

2:サフェーサー(中塗り)

1度ではなく、3〜4回程度繰り返して塗っていきます。

中塗りをすることで上塗りのムラが無く、発色もよくなります。

3:本塗り

3〜5回程度に分けて薄く吹き付けて塗布していきます。

4:クリア塗装

クリア剤も3〜5回に分けて薄く塗布します。

※クリア塗装後にさらに磨き工程があるので、ベースから―よりも厚めに塗っておく。

5:仕上磨き(約1週間後)

塗装面をコンパウンドで鏡面仕上げにします。

※仕上げの磨き作業を行うには、クリア塗装がしっかり乾いていることが絶対条件です。

表面の凹凸具合を見て必要であれば、コンパウンドの前に耐水ペーパー(3000番前後)で磨きをします。

キズ消し用コンパウンド→細目コンパウンド:→極微粒子コンパウンドと徐々に細目にして磨いていきます。

完成!

必要な道具と費用は次の通りです。

道具費用
コンパウンド(研磨剤)150円~
スポンジ110円~
マスキングテープ865円~
補修用パテ615円~
ヘラ110円~
サンドペーパー・耐水ペーパー
(240番・320番・600番・800番・1000番・2000番は必須)
280円~
板金ハンマーセット4,070円~
サンダー/ポリッシャー(電動)3,490円~
塗料(タッチアップペン)150円~
スプレーガン1,680円~
デントツール2,388円~
板金塗装で必要な最低限の道具とおおよその価格※価格参考:価格.com(2024年1月現在)
※スプレーガンの使用には、エアーコンプレッサーやエアホースなどのエアツールが必要となります。

自動車の板金塗装をDIYのメリット・デメリット

車の板金塗装をDIYするメリット

メリット
  • 修理代が安く済む
  • 業者とのやり取りが不要

修理代の節約

板金塗装のDIYする大きなメリットは節約になることです。

業者に頼むと、小さなキズであっても1万は越えてしまう板金塗装が、自分でやれば1万円以下、ごく浅い小さなキズであれば1000円もかからずにできてしまうのは大きなメリットといえます。

業者とのやりとりが不要

業者に板金塗装を依頼するとなると、見積もりを取り、日時決め、車の引き渡し、車の受け取り、と意外と業者とのやり取りが多くなります。

さらに日数も即日で終わることは難しいため、2〜5日程度かかることが多く、部品交換などがある場合は1週間程度かかってしまうこともあります。

DIYであればそれらの面倒なやり取りは一切不要なのもメリットです。

車の板金塗装をDIYするデメリット

デメリット
  • 作業工程が難しい
  • 道具をそろえるのが大変
  • 時間と手間がかかる
  • スペースの確保が必要
  • 失敗すると余計にお金がかかる

作業工程が難しい

板金塗装は業者でも専門性が高く、難しい作業です。

素人には完全に元通りにするのは無理なため、DIYで行う際は「誤魔化す程度」の仕上がりができれば上出来なほうと言えます。

板金作業も塗装作業も、プロと素人では仕上がりが違うということは覚悟して取り組みましょう。

道具をそろえるのが大変

DIYを行うさいに、まずやらなければいけないのが「道具をそろえる」ことです。

専門店やネットで全て購入することはできますが、完璧にそろえるとなるとかなり費用がかかります。さらにそれらをしまっておける場所の確保も必要となります。

時間と手間がかかる

板金塗装をDIYするには時間と手間がかかるのもデメリットです。

当然ながら業者に依頼すればすべて丸投げでキレイな状態の車が戻ってきます。

上記で説明した「パテ」や「塗装」の工程を行うだけでも、素人には1日ではできない作業だということが分かるかと思います。

1人で行うには根気が必要です。

場所の確保

板金塗装を行うには、広いスペースが必要となります。

バンパーなどパーツによっては、取り外して行う方がやりやすい場合もあるためスペースの確保が必要となります。

また塗装を行う際には、できるだけ無風であることが好ましいので、ガレージなど風が吹き込まない場所が理想的です。

自宅に広いガレージがある場合は可能ですが、ない場合は場所を借りるなどの必要性があります。

失敗すると費用が余計にかかる

いざやってみて失敗してしまった場合、業者に依頼すると最初の状態よりも板金塗装費用が高くなってしまう可能性があります。

例えば、自分でパテを行い失敗したとなると、そのパテを剥がす作業がひつようとなるため、工賃が上乗せされてしまいます。

大きなキズや難しい箇所など、DIYでは絶対にできないとわかる板金塗装に関しては、無理せず最初から業者に依頼するのがおすすめです。

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